仙台やまいち不動産投資センター

トピックスTOPICS

2025.12.01

外国籍・タトゥーを理由とする契約拒否、入居拒否が争われた裁判例

 多様な背景をもつ入居希望者が増える中で、入居者の国籍や外見を理由に契約を拒否する対応が法的に問題となるケースが見られます。

今回は、外国籍を理由に契約を拒否した事案(京都地裁平成19年10月2日判決、RETIO No.69掲載)と、タトゥーを理由に引渡しを拒否した事案(東京地裁令和4年10月12日判決、RETIO No.135掲載)を紹介します。

 

■外国籍を理由に契約を拒否した事例(契約締結前の事案)

 ある会社は、自社の外国籍従業員の入居を目的として、新築マンションの賃貸借契約を申し込みました。敷金・礼金・管理費など約47万円を支払い、契約書も提出済みでしたが、貸主は最終段階で「外国人だから」という理由で契約を拒否しました。

 京都地裁は、契約自体は未成立としつつも、貸主の対応について「国籍を理由に契約を拒否することは合理性を欠き、社会通念上許されない」と判断しました。

その結果、貸主の行為を信義則違反・不法行為と認定し、入居予定者に対し、慰謝料100万円と弁護士費用10万円の合計110万円の支払いを命じました。

 

■解説

契約が成立していない段階でも違法と評価されています。実務上も入居申込みに対して内諾した後、契約締結前に合理的な理由なく貸主側からキャンセルすることによるトラブルは、少なからず見かけます。

 

■タトゥーを理由に引渡しを拒否した事例(契約締結後の事案)

 借主は、住宅の賃貸契約を締結し、入居準備を進めていました。ところが、鍵の引渡し直前に貸主が「借主にタトゥーがある」と知り、物件の引渡しを拒否しました。

 東京地裁は、契約はすでに成立していることを前提に、「タトゥーを理由に履行(引渡し)を拒むことに合理的根拠はない」と判断しました。

 貸主の行為は契約上の履行遅滞に該当するとして、発注した家具配送料や仲介手数料等の約85万円の損害賠償と、受領した賃料や敷金等の約220万円の返還を命じました。

 

■解説

貸主は、「居住者にタトゥーが入っていると本件マンションの価値を減少させる」「悪評が広がる」「タトゥーがあることの告知義務がある」等を主張しましたが、裁判所はこれを認めませんでした。

 

■裁判例の位置づけ

 これら二つの判決は、入居(希望)者の国籍や外見を理由に契約上の義務を履行しなかったことが問題とされた事案です。外国籍を理由にした拒否は契約締結前の段階、タトゥーを理由にした拒否は契約締結後の段階で起きたものですが、いずれも裁判所は、貸主の対応が合理的な理由を欠くとして賠償を命じました。

 

■まとめ

 近年、入居希望者の多様化が進む中で、国籍や外見などを理由とする入居拒否や引渡し拒否がトラブルとなり、裁判で争われることもあるという点は、オーナーとして知っておくべき重要な事例です。

 

弁護士法人 一新総合法律事務所

弁護士 大橋 良二 氏

一覧へ戻る