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2025.09.29
子が親の土地の上に家を建てたとき
親が代々土地を引き継いできたケースでその敷地内に子が建物を建てることがよくあります。今回はその場合の課税関係について見ていきます。相続税までのことを考慮して建てていることはあまりないことが多くありますが、どのような影響があるか見ていきましょう。
借地権の問題
一般的には、他人の土地の上に建物を建てる場合は、地主に権利金などを支払って借地権などを設定することが多いかと思います。しかし、親族間においてはほとんどそのような支払いは行われないと思われます。では、借地権の取り扱いはどのようになるのでしょうか。何らかの課税が生じるのでしょうか。
土地の賃貸借が無償である場合
親の土地を借りて、地代を支払わない又は親の負担する土地の固定資産税相当額を地代として支払う場合は、使用貸借とされております。親の土地を借りているケースはこのような使用貸借による賃貸借がほとんどであると思われます。一般的に個人間において、借地権は生じないとされておりますが、所得税、贈与税、相続税の取り扱いはどのようになるのでしょうか。
課税関係の取り扱い
まず所得税ですが、親が土地を貸しているという点で不動産所得が生じるように思いますが、使用貸借の場合は、生じません。次に、子が親から借地権相当額の権利として、贈与を受けており贈与税が課税されそうですが、この場合は借地権相当額がゼロとして取り扱われるため、贈与税の課税関係は生じません。そうしますと、親の土地(底地)は土地の上に家を建てている子に土地を使用する権利相当額を渡していないことになりますので、相続税の計算の際は、親の土地は借地権相当額を考慮しないで、親が自分で使用していた土地として、自用地の取り扱いとなります。
注意する点は?
子が建物を建てる際に、借地権などの設定を行うかどうかで相続税等の取り扱いは変わってきますので、相続税のことを見越して使用貸借でいいのかどうかを検討しておくことが大切です。また、使用貸借の際も契約書の整備や固定資産税相当額の支払いの証拠などもきちんと残しておくと上記の課税関係で整理できますので、贈与税などの課税関係が生じないようにしておきたいところです。具体的な手続きは、事前に税理士・税務署にて詳細の確認をされて進めていただけるようお願いいたします。
税理士法人Kollectスターズ
税理士 後藤 勇輝 氏