トピックスTOPICS
2025.08.18
既存賃貸物件の建替え時の注意点
総務省統計局によって、令和5年度に行われた『住宅土地統計調査』によると、築年数が20年を超える貸家の割合は全国で64.6%となっております。築25年以上でも54.2%となっており、築古物件の割合は増加傾向となっております。
木造物件の場合、一般的に30年を超えると建替えを検討するケースが出てくるかと思いますが、本来であればローンの返済が終わってからが賃貸経営の収益性が高まる時期です。そのため、建築時、もしくは購入時の借入期間は、賃貸経営において重要な指標の一つと言えるでしょう。
今回は、今後資産の組み換えとして、既存物件の建替えを検討する際の注意点についてお伝えしていきます。
1.既存入居者との立ち退き交渉
【正当事由の厳格な判断】
アパートの建替えは、必ずしも解約の正当な理由とならない場合があります。特に老朽化の危険性だけでなく、オーナー様と入居者双方の事情を比較し、入居者保護の観点から厳しく判断されることが多いです。
【交渉の進め方】
裁判になる可能性もあるため、書面での申し入れや証拠を残すことが重要です。丁寧な説明と、転居先の紹介や立ち退き料の支払いなど、適切な転居サポートを行うことがスムーズな交渉につながります。
【退去までの期間】
最低でも半年以上の退去猶予期間を確保することが望ましいです。定期賃貸借契約であれば、契約期間満了で退去してもらえるため、立ち退き交渉の手間を省ける場合があります。
2.資金計画
【高額な費用】
解体費用、新築費用、立ち退き料など、建替えには高額な費用がかかります。自己資金で賄うのが難しい場合は、ローンを組むことになりますが、利息返済額が増えるリスクも考慮が必要です。
【家賃収入の中断】
建替え期間中は家賃収入が途絶えるため、その間の生活費やローンの返済に充てる預貯金が必要になります。
3.収益性の見極め
【築年数と空室状況】
築年数、空室状況、外観や間取りの状態を総合的に判断し、建替えが本当に必要なのか、リフォームやリノベーションで対応できないかを検討します。築年数が20年未満であれば、リフォームで入居が見込める場合もあります。
【賃料の増加と空室率の低減】
建替えにより新築にすることで、賃料の引き上げや空室率の改善が期待できます。
【修繕費の抑制】
新築後は当面の間、大規模な修繕費を抑えることができます。
いかがでしたでしょうか。すでにアパート建築のメーカーからご提案を受けているオーナー様もいらっしゃるかと思いますが、上記の注意点を踏まえて、本当にご自身にとってメリットのある計画なのかどうかを今一度ご判断いただければと思います。弊社でもシミュレーションすることは可能ですので、もし判断にお困りの際はいつでもお声がけください。