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2025.07.28
相続人が海外に居住している場合の相続税
最近、増えつつある相続人が海外居住で相続が発生するケースについて、どのようなことに注意したらよいか。取り扱いをみていきたいと思います。
被相続人・相続人がどこで、どのくらい居住していたかで取り扱いが変わるため、判断に悩むこと事例も多いようです。
海外に居住する相続人の納税義務
海外居住で日本に住所がない相続人は、相続により財産を取得した場合、日本国籍の有無と10年以内に日本国内に住所があったかどうかで課税財産の範囲を判断します。相続人が日本国籍で10年以内に日本国内に住所があった場合は、被相続人の居住地、国籍に関わらず全世界の財産が課税対象となります。ゆえに相続税の納税義務があり、課税対象財産についての判別が必要となります。
被相続人が日本国内に住所がある場合がほとんどですが・・・
お子さんが何らかの理由(移住、留学、駐在など)で海外に出られていて、親が国内在住でご相続が発生するというケースがご相談として多くありますが、この場合は、全世界の財産の財産が対象となりますので、被相続人が海外に拠点をお持ちだったような場合は、財産の申告漏れがないように注意が必要です。ハワイにコンドミニアムがあれば、管理用の銀行口座などもしっかり確認しておくということです。
気を付ける点は?
相続人が海外居住である場合は、日本の相続で通常必要な印鑑登録証明書などの書類が用意できず、居住国の日本総領事館で発行される書類を取得する必要があり、手続きに時間を要することとなります。また、遺産分割協議となりますと、押印の手順や必要書類の準備もあり、相続税の申告期限の10か月までに間に合わせるために急いで進めていくこととなります。税金の申告については、納税管理人の届出を行い、所得税や相続税の申告の際に代理をして頂く準備も必要となります。
海外居住の方が相続人にいらっしゃる場合の相続は、財産の把握・書類の整備について、相当早い時期に確認しておき、銀行口座などの解約手続きに必要な書類や相続人の自署部分の把握などを網羅的に進めておくと良いでしょう。
具体的な手続きは、事前に税理士・税務署にて詳細の確認をされて進めて頂けるようお願いいたします。
【ご参考】
国税庁タックスアンサー No.4138 相続人が外国に居住しているとき
税理士法人Kollectスターズ
税理士 後藤 勇輝 氏