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2025.07.14

認知症が進むと不動産が売却できない? ~成年後見と法改正~

高齢の親の名義になっている不動産を売却したいが、認知症が進行しており契約ができない――このような相談は少なからずあります。 まず、認知症なって「意思能力」を失うと、不動産売却や贈与などの法律行為を行うことができなくなります。売却の方向で話が進んでいたのに、登記の段階になって司法書士の先生が意思確認すると、判断能力がないので売却手続が進められず、ご相談いただくようなケースも少なからず見られます。この場合、家庭裁判所に申立てを行い「成年後見人」を選任してもらう必要があります。

 ただ、一度後見人が選任されると「不動産を売却したからといって、成年後見制度が終了するわけではない」という点には注意が必要です。たとえば、施設の入居費用を捻出するためアパートを売却しても、その後の預金管理・施設契約などのため、成年後見は継続されます。

 この「一度始めると原則終身継続」という運用が、制度利用をためらわせる大きな理由の一つと言われています。現行制度では、本人が死亡するまで後見は原則として続き、途中でやめることは通常はできません。

 

成年後見制度の法改正に向けた検討テーマ

引用元法務省:成年後見制度の見直しについて

 

 

 この点については、法改正も含めて議論されており、2024年以降、柔軟な終了や段階的後見制度の導入に向けた法改正の検討が始まっています。一定の目的(例:不動産売却)が達成されたら後見を終了できるようにする案も検討されています。「一定の期間制や、具体的な利用の必要性を考慮して開始し、必要性がなくなれば終了する仕組みを検討」(成年後見制度の見直しに向けた検討令和6年11月法務省民事局資料)

 成年後見制度は重要な制度ですが、その反面、「始めるとやめられない」「柔軟な意思決定が難しい」という現実もあります。将来の売却や相続の円滑な実行のためには、法制度の特性を理解し、認知症が進行する前に早期の準備を行うことが予防策となるでしょう。

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