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2025.06.16
高齢者の賃貸入居促進へ 住宅セーフティネット法等改正について
昨今では、高齢者・障がい者・低所得者等の賃貸住宅入居を円滑に進めることが重要な課題となっています。これまでオーナー側のリスク(孤独死、家賃滞納、残置物問題など)が受け入れ障壁となっていましたが、これらの不安を解消し、賃貸供給促進を図るため、住宅セーフティネット法等の改正が行われ、2025年10月に施行予定です。
【改正内容】
1.要配慮者(高齢者、障がい者、低所得者等)が円滑に入居できる市場環境の整備
・終身建物賃貸借契約の活用促進
入居者死亡後も契約更新不要で円滑な継続利用が可能に。手続きの認可手続きも簡素化されます。
・残置物処理の推進
入居者死亡時の残置物処理を円滑に行うため、居住支援法人への委託により、死亡後の残置物処理がスムーズに実施できるよう制度が整備されます。
・家賃債務保証業者の認定制度新設
要配慮者専用に利用できる認定保証業者の仕組みを導入し、保険制度などにより保証リスクを低減します。
2.居住支援法人等による入居中サポートの強化
・居住サポート住宅制度の創設
居住支援法人等が見守り支援、福祉サービスとの連携支援を行う「居住サポート住宅」制度を創設。
・生活保護受給者の家賃支払いについては、オーナーへの直接支払い(代理納付)を原則とし、家賃滞納リスクを軽減。
・家賃債務保証の原則利用
要配慮者が新規入居する際には、認定保証業者による保証契約の利用が原則化されます。
3.住宅施策と福祉施策が連携した地域支援体制の強化
・地域単位での居住支援協議会設置促進
市区町村による居住支援協議会の設置を推進。住宅と福祉関係者の連携による包括的支援体制を整備します。
○オーナーが押さえておくべきポイント
これからは高齢者等を対象とした賃貸借契約について、法改正により制度がかわります。高齢者等との賃貸借契約の締結が社会課題とされており、今後、法改正により国が要配慮者の賃貸住宅の確保について供給を促進していく流れであることを押さえておきましょう。
【参考文献】
・国土交通省・厚生労働省「住宅セーフティネット法等改正資料(令和6年6月5日公表)」
・全国宅地建物取引業協会連合会「住宅セーフティネット法改正コラム」
弁護士法人 一新総合法律事務所
弁護士 大橋 良二 氏