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2024.12.09

賃貸マンション借主の迷惑行為による 貸主の賃貸借契約の解除

 賃貸マンションの入居者の迷惑行為に頭を悩ませているオーナーからのご相談は頻繁にあります。今回は、オーナーから借主へ迷惑行為で損害賠償請求が認められた裁判例をご紹介します。

 

【事案】 

賃貸マンションの入居直後から複数人が頻繁に出入りし、深夜にも騒音を立てる迷惑行為があった。オーナーが口頭で注意するも騒音が続いたため、契約違反の通知書を渡した。同居人がいることが発覚したので、同居人とともに騒音に注意する同意書を取り交わした。

 それでも騒音が継続したために話合いの場を設け、敷物を敷くなど部屋の使用方法の改善を求めたところ、同居人から「(借主)をこんな目にさせたのは、 あんたのせいだ。敷物はしかねぇよ」、「 (借主)を救いたいんだよ。誰のせいでこうなってると思ってるんだよ」などと怒鳴り、オーナーに転居費用などを要求した。「 (借主)は仕事だって行ってないんですよ。 人の心を壊してしまった自覚はあるんですか、ないんですか」と詰問し、休業補償、慰謝料等を要求した。オーナーは、契約者に連絡しない、違反した場合には賃料6ヶ月分を支払うとする誓約書に書かされた。騒音は、その後も継続し、本物件階下の居住者は退去したが、新たに入居者を募集することはできなかった。

 

 オ−ナーが入居者の騒音を注意したところ、理不尽な反論にあった、という事案です。オーナーは契約解除して約600万円の損害賠償請求を行い、役420万円が認められました。注意をしても騒音を続けたことや、オーナーが支払義務を負わない内容について高額な請求をしたことが理由です。退去しなかったことによる損害金、契約に基づく使用料相当の損害金や、下の階を賃貸できなかった損害、防犯カメラの設置費用や、弁護士費用の一部なども認められています。

 迷惑行為に加えてオーナーへの理不尽な要求行為にまで及んだ場合には、毅然とした対応を行うべき、という一例です。裁判の結果でも、騒音で下の階に入居させられないという逸失利益の損害や、防犯カメラ費用、弁護士費用の一部まで認めていること、慰謝料は認められていないことなどが参考になります。

 

参考文献

東京地方裁判所令和4428日判決

(ウエストロー・ジャパン)を参考とした事案です。

RETIO. NO.130 2023 年夏号

 

弁護士法人 一新総合法律事務所

弁護士 大橋 良二 氏

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