トピックスTOPICS
2024.09.09
事故物件の告知義務について
警察庁のまとめによると、年約6.8万人の方が一人暮らしの家で孤独死をしたとされています。
入居者が家で亡くなった場合には、宅建業者は、次入居者に対して入居者が亡くなったことにつき告知義務が課される場合があります。
国土交通省からは「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」が策定されており、これに従って宅建業者には告知義務が課されることになります。
1.宅建業者が告げなくてもよい場合について
老衰、持病による病死など、いわゆる自然死については、そのような死が居住用不動産について発生することは当然に予想されるものであるとされ、この場合には宅建業者には告知義務はないとされています。
このほかに、事故死に相当するものであっても、自宅の階段からの転落や、入浴中の溺死や転倒事故、食事中の誤嚥など、日常生活の中で生じた不慮の事故による死については、賃貸借取引及び売買取引いずれの場合も、自然死と同様に、原則としてこれを告げなくてもよいとされています。
2.告知義務が課される場合について
賃貸借取引において、上記の1以外の死が発生したり、特殊清掃が必要となった場合には、概ね死が発覚してから3年間は告知義務が課されるとされています。
したがって、1の場合でも、長期間にわたって人知れず放置されたこと等に伴い、いわゆる特殊清掃や大規模リフォーム等が必要になり、取引の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合には告知義務が課されることもあります。
ただし、事件性、周知性、社会に与えた影響等が特に高い事案の場合には3年を経過しても告知義務が必要とされる場合もあります。
3.まとめ
国交省のガイドラインは、現時点で妥当と考えられる一般的な基準を示したものに過ぎません。今後、裁判例又は不動産取引の実務が蓄積していけば新たな基準が策定されることになります。
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001426603.pdf「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」国土交通省
弁護士法人 一新総合法律事務所
弁護士 田上 博也 氏