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2023.09.18

令和5年3月版参考資料が追加 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」

 国交省から令和5年3月版「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に関する参考資料、が発表されました。皆さまご存知のとおり、賃貸借契約終了時の原状回復というのが大変トラブルの多いものです。上記の参考資料によると、消費生活センターに毎年3~4万件程度の相談が寄せられていますが、「敷金ならびに原状回復トラブル」はその3~4割程度を占めている、と言われております。

 そのことから、年間1万件程度の敷金や原状回復についてのトラブルが生じているような状況と考えられます。敷金や原状回復については、以前より「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)により実務上処理が行われているところですが、今般、新たにガイドラインに関する参考資料が発表されました。

参考資料の概要は以下のとおりです。(同参考資料、「本書の内容」より引用

○第1章では、ガイドラインの原状回復義務の考え方について解説しています。

○第2章では、アンケート調査結果やヒアリング調査結果を踏まえ、退去時のトラブルを防止するための留意点を契約時、入居中、退去時の時系列で整理しています。

○第3章では、実際の原状回復のイメージをつかんでいただくことを目的として、写真を交えながら原状回復の事例を紹介した上で、ガイドラインの考え方に従ったケーススタディを行っています。

○第4章では、退去時にトラブルが発生した場合の解決手法の概要等について紹介しています。

○また、参考資料として、国土交通省で作成・公表している民間賃貸住宅の賃貸借契約に関する資料等を紹介しています。

 

原状回復ガイドラインについての内容がまとめられていますので、是非、ご一読いただくことをおすすめします。下記の国交省サイトなどでダウンロード可能です。

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html

 

 我々がオーナー様や管理会社から相談を受ける事案でも、オーナー様が、原状回復ガイドラインの内容から大きく離れた請求を行って(希望して)、入居者側が消費者センターなどに駆け込んでトラブルとなる事案も散見されます。

 確かに、長期間に渡って借りた部屋の場合には、入居者の故意過失によりお部屋を汚していたとしても、入居者の負担額はあまり大きくはならない、というのがガイドラインの内容です。そのため、オーナー様が納得できないという想いも理解できるところではあります。とはいえ、ガイドラインから離れた主張をしてもトラブルになるだけ、という側面も否定できません。

 今は入居者も原状回復の手法について様々な情報収集をすることが当たり前になっていますので、ガイドラインの考え方について理解を進め、合理的な賃貸経営を目指しましょう。

 

弁護士法人 一新総合法律事務所

弁護士 大橋 良二 氏

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