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2023.01.16

入居者の孤独死と 基本的な対応について

 今回は、入居者が孤独死した場合の対処法をまとめました。年末年始は特に発生リスクが上がるとも言われておりますので、確認しておきましょう。

 

1 入居者が亡くなった場合の賃貸借契約

 入居者が亡くなっても賃貸借契約は終了することはなく、賃借人の地位は、その相続人に承継されます。独居の入居者の場合には、入居者の死亡で住む人がいなくなりますから、通常は、相続人と連絡を取り、賃貸借契約を合意により解除して、退去手続を進めていくことになります。

 

2 亡くなった後の賃料や原状回復の処理

 入居者が亡くなった場合の原状回復費用については、相続人がその地位を承継していますので、たとえば、親が亡くなった場合には相続人である子どもに対して、原状回復費用や未払賃料などを請求します。

 ですが、入居者と相続人との関係が希薄である場合などは、そもそも相続人が誰であるか、どこに住んでいるかわからない場合も少なくありません。また、契約解除して居室内の残置物を収去しなければ原状回復や次の入居者募集もできません。相続人に連絡を取り、合意解除をする必要がありますが、協力が得られない場合や、協力をえるために賃料等の請求は諦めざるをえない場合もあります。

 

3 連帯保証人へは何を請求できる?

 連帯保証人に対しては未払賃料や原状回復費用を請求することはできますが、基本的には連帯保証人に賃貸借契約を解除する権限はありませんので、契約解除は相続人と行う必要があります。残置物の処理については、生前に入居者から第三者に委託してもらう方法もあります。

 

4 孤独死と告知義務について

 国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」によれば、漏水、持病による病死などの自然死や、階段からの転落や、入浴中の溺死や転倒事故、食事中の誤嚥などの日常生活の中での不慮の死については、原則として告知義務はないとされています。

 ですが、このような自然死や日常生活の中での不慮の死であっても、長期間にわたって人知れず放置されたこと等に伴い、いわゆる特殊清掃や大規模リフォーム等(以下「特殊清掃等」という。)が行われた場合には、入居者に対し3年程度は告知義務を負うとされます。

 ですので、孤独死については長期間経過する前に発見できるような工夫(見守りサービスなど)を検討する必要もあります。

 

5 賃料保証や保険などの利用

 上記のとおり、独居入居者の対応には様々問題が生じますが、保険により遺品整理費用や原状回復費用がカバーされる場合があったり、賃料保証に孤独死に対するサービスがあるものがあります。今後の超高齢化社会では独居の入居者は避けられないと思いますので、必要な対策を検討していきましょう。

 

弁護士法人 一新総合法律事務所

弁護士 大橋 良二 氏

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