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2022.05.30

『資産に関わる税務の基本』もう誰にも聞けない相続税の基本⑫ 

相続人が外国に居住している場合を解説します。国外居住の相続人がいる場合の相続手続きは、複雑であり時間を要するものが大半です。特にコロナ禍では通常より手続きに困難が生じているようです。

 

≪海外に住んでいても日本の相続税は課税対象になるか?≫

相続が開始した時に、相続人が国外に居住しており日本国内に住所がない場合は、その人が相続により取得する国内財産についてのみ相続税が課税されます。

 また、財産取得の相続人が次のようなケースは、国外財産についても課税されます。

 

 ・日本国籍が有り、相続開始日前10年以内に日本国内に住所が有った場合など

 ・日本国籍が無く、被相続人が外国人被相続人などでない場合

 

 相続税の課税は、国籍や居住の実態、財産の所在地などを総合的に判定して、最終的な課税対象を判定します。そのため、国外居住の相続人がいる場合は、相続が開始したら納税義務の有無と対象財産について慎重に確認が必要です。

 

≪相続手続きはどのようになるでしょうか?≫

 相続税は、申告・納税までの期限が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内とされておりますが、それまでに、相続人の戸籍などの必要書類や遺産分割協議を整え、関係する書類も準備することになります。相続人が全員国内であれば、これらの書類などの手続きは滞りなく進めることができますが、国外居住の相続人がいる場合は、滞在国の日本国大使館や領事館において「在留証明書」や「サイン証明書」を発行してもらう必要があります。また、被相続人の銀行などの口座解約に際しての書類も、国外居住の相続人に署名を求めるケースもあり、書類の整備までの時間を十分に考慮しておくことが求められます。これは不動産について相続登記がある場合も同様です。

 

≪注意すべき点≫

 上記の点以外にも、国際相続においては、国内居住の被相続人が国外に別荘を所有していたり、国外居住の被相続人が国内に資産を多数所有しているケースなど、財産の把握、評価金額、必要書類が多岐に渡るため、早め早めの動きが必要となります。

 

No.4138 相続人が外国に居住しているとき

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4138.htm

 

税理士法人タックスウェイズ

税理士  後藤 勇輝 氏

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