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2022.01.17

~民法改正〜越境した竹木の枝の切取りのルールが変わります!

民法を勉強したことのある方なら聞いたことがある「越境した竹木の枝の切取り」(民法233条)の規定が改正されます。

 これまでの民法では、隣の土地の竹木が自分の土地に越境してきた場合には、「根っこは自分で切れる、枝は勝手に切れない」がルールでした。

 

つまり、隣地の竹木の根がこちらの土地に越境してきた場合には、自分で切ることができるが、枝が越境してきた場合は自分で切ることはできず、隣の人に枝を切除させなければならない、というルールです。根より枝の方が通常価値が高く、枝は隣地に入らなければ切りにくいから、という理由と言われています。

 しかし、このルールが変更され、一定の条件で、隣地から越境してきた枝を切除することができるようになりました。なぜ、このようにルールが変わったか、というと「隣の人に枝を切除させる」というのが大変だからです。隣地所有者に「切ってくださいね」といって素直に切除してくれれば良いのですが、してくれない場合には、どうするか。強要することはできないので、この場合は、裁判を起して強制執行する必要があります。ですが、枝を切るためにわざわざ裁判までしなければならないのか?という話になりますので、今回、特定の条件を満たす場合に自分で切除できるよう法改正なされたというわけです。

 

問題の所在

○:土地の所有者は、隣地の竹木の根が境界線を越えるときは自らその根を切り取ることができるが、枝が境界線を越えるときはその竹木の所有者に枝を切除させる必要がある(現民法233)。

1.竹木の所有者が枝を切除しない場合には、訴えを提起し切除を命ずる判決を得て強制執行の手続をとるほかないが、竹木の枝が 越境する都度、常に訴えを提起しなければならないとすると、救済を受けるための手続が過重(以下略)※1

 

では、どのような場合に、自ら切ることができるかというと、以下の①②③のとおりです。いつでも勝手に越境した枝を切ってよいというわけではなく、ルールがあることは確認しておきましょう。

 

改正法土地所有者による枝切り

越境された土地の所有者は、竹木の所有者に枝を切除させる必要があるという原則を維持しつつ、 次のいずれかの場合には、枝を自ら切り取ることができることとする(新民法233Ⅲ)。 ※2

①竹木の所有者に越境した枝を切除するよう催告したが、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき

②竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき

③急迫の事情があるとき

 

1 令和3年民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法のポイント(法務省民事局)より引用。

2 この法律は、公布(20214月)から2年以内に施行予定です。

 

弁護士法人 一新総合法律事務所

弁護士 大橋 良二 氏

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