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2021.08.17

法改正で変わる相続  〜相続登記の義務化に備える〜

相続登記の義務化についての改正案が2021年4月21日参院本会議で可決・成立し、ニュース等でも注目を集めました。改正法は2024年までに施行される予定です。具体的なルール決めはこれからですが、土地の相続が大きく変わることになります。実はこの改正法は施行前に発生した相続についても、対象になる部分があります。過去の相続がトラブルを引き起こすことも考えられるため、備えが必要なケースも出てくることが予想されています。

 

相続登記の義務化によるポイントとは

法改正により、相続が発生した場合、3年以内に相続登記(名義変更)をしなければならず、違反した場合は10万円以下の過料対象になります。

 この期限は、厳密にいうと、相続開始と不動産を相続する権利があることを知ってから3年以内です。何らかの事情により相続登記ができないときのために、相続人申告登記(仮称)という相続登記の義務を一旦免れる制度も新設されますが、相続登記の義務化により、実質的に遺産分割協議にも、3年以内という期限ができることになります。

 

遺産分割協議については他の財産についても話し合いをしないと、不動産を誰が取得するか、なかなか決まりません。不動産がある相続には期限ができることを、今から意識して準備をしておく必要がある、ということになります。

 また、改正法の施行前に発生した相続も、相続登記の義務化の対象になる、とされていることもポイントになります。そうなると、例えば「20年前に亡くなった祖父母名義のままの土地」というような、過去に相続が起きて相続登記をしていない全てのケースが義務化の対象になる、ということになります。身近にこういったケースがある場合は、今から相続登記の準備をはじめても決して遅くはないでしょう。

 

その他の法改正のポイント

相続登記とともに、住所・氏名の変更登記も義務化されます。住所や氏名に変更があった場合も、変更日から2年以内に変更の申請登記をしないと5万円以下の過料の対象です。

 また、土地の所有権の放棄ができる制度も新設されます。残念ながら放棄を考えている方にとっての朗報とは言えず、放棄される土地は国が受け入れますが、「問題のない土地」であることが条件です。建物がなく更地として利用できる、境界が明確で権利関係に争いがない、土壌汚染がない、等の条件を満たしている必要があり、さらにはその土地の管理費10年分相当の負担金を納付する必要も出てくるようです。利用についてはかなりハードルが高い制度になることが予想されます。

 今後も増加が続く見込みの所有者不明土地への対策として、このように法整備が進められています。相続登記がされない要因の一つに、相続の準備不足があります。「なんとなく相続の話し合いをせずに、10年以上たってしまった」というケースは、そもそも話し合うと相続トラブルに発展することがわかっていて、当事者同士で根本的な対策がされないままになっている、というケースが多いのが実態です。

 「うちは関係ない」「うちの子供たちは大丈夫」「うちの兄弟は大丈夫」と思わずに、誰でも起こりうることとして、家族ぐるみで相続の準備をしたいですね。もし、当事者間だけでトラブルになることが想定されるケースの場合、客観的に利害関係がない第3者に間に入ってもらうことも、有効な対策の一つです。弊社でも、微力ながら皆さんのサポートをさせていただく準備がありますので、ご不安な方は是非一度お声がけをいただければと思います。

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