仙台やまいち不動産投資センター

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2020.09.21

契約期間が満了しても管理会社を変えられない?普通賃貸借契約での借上げはオーナーから解約できない

今回は、近年トラブルの報告が増えているサブリース契約に関する問題について、オーナー様よりご質問をいただきましたので、ご回答させていただきます。賃貸借契約上の貸主と借主の関係では、借主側の主張が有利に働くケースが多いので、注意が必要になります。

 

Q.私が所有するアパートは、これまで不動産会社に3年間、借り上げ(サブリース)してもらっていました。不動産会社の対応がよくないので、今回、3年の期間満了で別の会社に変えたいと思っているのですが、不動産会社からは「それはできない」といわれました。契約期間が満了するのに、なぜ契約を続けなければいけないのでしょうか?

 

A.一般論としては、一般賃貸借契約の場合には、契約期間が満了したとしても、貸主であるオーナーから解除するためには法律上の「正当事由」が必要であり、簡単には解約できないので注意が必要です。

 

オーナーが不動産会社に、物件を一定期間借り上げてもらうことがあります。この場合、不動産会社との間で賃貸借契約を結び、不動産会社が一般の入居者などに転貸することになります。この場合のオーナーと不動産会社との賃貸借契約をマスターリース契約といいます。

このマスターリース契約ですが、一般の入居者に賃貸する場合と同様に、借地借家法に基づく「正当事由」がなければ契約を解約することができません。これは、一般の入居者に賃貸したときに、オーナー側からは賃貸借期間が満了しても簡単に立ち退きを求めることができないのと同じ理屈です。

 これを聞いて、「一般の入居者は、居住権保護の観点から借地借家法で保護されているのであって、借り上げをする不動産会社はオーナーよりも強い立場の場合も少なくない」「だから、借地借家法が適用されるのはおかしいのではないか?」と思われる方もいるかもしれません。ですが、この点については、最高裁判決があり、平成15年10月21日判決で、マスターリース契約に借地借家法が適用されることが明らかとされています。

 実際に、オーナーが、不動産会社に対し、マスターリース契約が期間満了で終了したと主張した裁判(東京地裁平成24年1月20日判決、RETIO. 2013. 1 NO.88)があます。この判決では、マスターリース契約に旧借家法1条の2(賃貸人からの共振拒絶や解約に正当事由を必要とする、現行の借地借家法28条の同趣旨のもの)を適用し、オーナーの期間満了により契約が終了したとの主張を退けています。

 このように、オーナーが不動産会社に普通賃貸借契約で借り上げてもらうと、「オーナー側からは契約期間が完了したとしても、簡単に不動産会社を変えることはできない」「不動産会社と交渉して、解約することの合意が得られなければ解約できない」という2点については、借り上げをしてもらう際によく理解しておく必要があります。期間満了で契約を終わらせるためには、普通賃貸借契約ではなく、定期借家契約を結ぶ必要があります。

 

※この記事の内容は、記事作成時の裁判例・法令等に基づき、一般的な解説を加えたものです。

   個別の事情については、専門家に相談することをお勧めします。

 

弁護士法人 一新総合法律事務所  弁護士 大橋 良二 氏

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