仙台やまいち不動産投資センター

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2020.08.24

新型コロナウイルス影響下で賃料不払いによる立ち退き請求はできるか

 新型コロナウイルス感染拡大は、まだ予断を許さない状況が続いています。今回は、長期化するコロナ対応として、オーナーとして知っておくべき入居者・テナントからの請求への対応として、賃料不払いでの立ち退き、について確認しておきたいと思います。

 

Q:入居者の賃料不払いが3か月続いているので退去を求めたい。

 

A:通常であれば立ち退きが認められる3か月程度の未払いでも、新型コロナウイルスの影響下では、立ち退きを求められない可能性が高いです。

 

 賃料不払いが続いている場合には、賃料不払いを理由として賃貸借契約を解除し、物件を立ち退いてもらい、次の賃借人を募集することになります。賃貸借契約を解除するためには、(契約書に「1回でも滞納すれば契約解除できる」記載があったとしても)、単に不払いがあっただけでなく、信頼関係を破壊するだけの事情がなければ解除できない、という判例があります。そして通常、3か月程度の不払いがあってはじめて、信頼関係が破壊されており、賃貸借契約が解除できると言われています。

 一般論としては以上のとおりですが、新型コロナウイルスの感染拡大の状況下では、法務省民事局が見解を示しており、注意が必要です。具体的には、「最終的には事案ごとの判断となりますが、新型コロナウイルス感染症の 影響により3か月程度の賃料不払が生じても,不払の前後の状況等を踏まえ,信頼関係は破壊されていないと判断され,オーナーによる契約解除(立ち退き請求)が認められないケースも多い」と示されており、最終的には裁判所での判断によるとはいえ、このような見解は裁判にも少なからず影響を与えるものと考えられます。

 以上のとおりですが、この信頼関係が破壊されたかどうかについては、不払いに至った経緯、不払い後の交渉状況なども考慮されると考えられていますので、誠実に賃料についての協議に応じたかどうか、オーナーからの協議要請に対して応じたかどうか、という点も信頼関係破壊の有無を判断する考慮要素になると考えられます。

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