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2020.07.01
滞納賃料の回収と立ち退きについて
新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、各種自粛などで経済活動が停滞すると、職を失う方や収入が減る方が増えてくることが予想され、近い将来にも、賃料を滞納する入居者の増加が想定されます。
そうなると、賃料の取り立てや、長期にわたって滞納が続くのであれば入居者に立ち退きを求めるケースが増えますので、今回は、滞納賃料の回収と立ち退きについて説明します。
まず、賃料回収や立ち退きについて、第一次的には管理会社に依頼される方が多いと思います。ここでのポイントは、管理会社でできる賃料回収や立ち退き交渉には限りがあるということです。オーナーとしては管理会社にすべてお任せで何でもやってほしい、と思うかもしれませんが、単に督促状を送ったり、事務的な電話連絡するくらいであればまだしも、管理料を対価として支払条件を交渉したり、賃料が支払われないからといって明け渡し交渉することは、非弁行為といって弁護士法に違反してしまいます。
そうなると、次に、弁護士に依頼するか、ということになります。ですが、弁護士に依頼する場合にはコスト(弁護士費用)が問題となります。一般的なアパートの一室の明け渡しにどの程度費用がかかるでしょう。
まず、弁護士費用ですが、インターネット等や私の知る限りでは、だいだい着手金と報酬併せて50万から60万円程度の費用がかかる場合が多いです。弁護士費用だけで済むかというとそうではなく、裁判所へ提出する印紙などの実費もかかりますし、入居者がなかなか立ち退かずに強制執行まで行う場合には、執行官(裁判所の職員)への手数料や、なかにある物品を運び出す引っ越し代金等もかかることもあります。結果、アパートの一室(一棟ではないです)を強制執行すると、結果的に100万円近いお金がかかるケースも少なくありません。
もちろん、その一部(執行費用)は、入居者や連帯保証人に請求することになりますが、賃料の支払いが難しい方に請求しても、「ない袖はふれない」ということで回収することは困難であることが多く、結果、オーナーの自腹となることも少なくありません。
ただでさえ賃料が払われないところ、これだけの費用がかかるのですから、負担は大きいです。ですが、これが現実なのです。
では、オーナーとしてどのような対応ができるか、結論から言うと保証会社を利用するのが一番の解決策です。保証会社付きであれば、滞納賃料は保証してもらえますし、(契約内容にもよりますが)通常は、明け渡し等に至るまでの弁護士費用を含めた手続き費用までカバーしてもらえます。手数料はかかりますが、万が一の場合には上記のような費用がかかることなどを想定すると、保証会社を利用する方が増えているのも納得できるのではないでしょうか。