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2023.04.24

インボイス制度の基本 ~もう誰にも聞けない消費税の基本⑪~ 

 巷で話題のインボイス制度と不動産業との関連について、テーマに沿ってご案内して参ります。第11回目は、「令和5年度税制改正大綱のインボイス制度の扱い」を考慮した消費税の具体的な試算をしていきます。

免税事業者である方がインボイス制度導入に際し登録事業者になる場合を想定します。なお、現段階(2023年2月時点)で、法制化されておりませんので、取り扱いが変わる可能性がございますのでご注意ください。

 

1.改正を考慮した不動産業の具体的な消費税計算

 消費税の基本的な計算方法については今までご紹介してきました通りですが、ここでは免税事業者だった方が登録事業者となり税制改正で創設されるいわゆる「2割特例」※という制度を選択するとどのくらい軽減されるかをみていきます。※「2割特例」は、第9回をご参照ください。

 

【設例】事業用ビルを保有している免税事業者が年間賃料収入900万円(税込)あり、登録事業者となった場合で、通常の簡易課税と「2割特例」で試算します。

【計算】

1)通常の簡易課税

900万円×10/110=818,000円 不動産業・第6種事業・みなし仕入率40%

818,000円-818,000円×40%=490,800円

2)2割特例適用

900万円×10/110=818,000円 2割特例・みなし仕入率80%

818,000円-818,000円×80%=163,600円

※端数処理等は法令通りではありません。

 

 計算結果の通り、2割特例適用は納税額が約3分の1に軽減されておりますので、新たに消費税の課税事業者となるハードルが下がります。なお、この特例はインボイス制度開始より3年間限定ですので、その後は通常の計算となります。

 実務相談を受けていると、設例のように賃料設定がなんとなく税込となっていたり、消費税設定がなかったりということもありますので、賃料についても再度確認が必要だと感じます。テナントさんとのトラブルがないように、免税事業者のまま行くのか、登録事業者を選択するのか立ち位置をはっきりさせて契約関係もこれをきっかけに整理できると良いでしょう。

 具体的な手続きは、税理士・税務署にて詳細の確認をされて進めて頂けるようお願いいたします。

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