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2021.11.15

単身入居者が亡くなった場合の対応

「単身の賃借人が亡くなったので、残された家財などを処分してよいか」というご相談を受けることがあります。

 賃借人が亡くなったのだから賃貸借契約も終了するのではないか、終了するのだから残置物を処分してよいのではないか、と考えられる方もいらっしゃるかもしれませんが、そう簡単ではありません。賃借人が亡くなっても賃貸借契約は終了せず、亡くなった方の相続人が、賃貸借契約や残置物の所有権を相続することになるからです。

 

このことから、賃借人が亡くなられた後には、相続人に連絡を取り、賃貸借契約を解除する必要がありますし、解除した上で、部屋の中の荷物などの残置物を相続人の承諾を得て処分するなどの対応が必要となります。原則として、勝手に処分することはできません。他人のものを勝手に捨ててはいけないからです。

 しかし、ここで問題となるのが、下記の点です。

 

1)相続人から契約解除や残置物の処分に協力が得られない

2)そもそも相続人が誰かがわからない

3)連絡先がわからない

 

 こうなると、次の退去を完了させて次の入居者を募集することができませんので、困ったことになります。

 このような問題に対処するための一つの対策方法として、国土交通省と法務省が提供する「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を利用することが考えられます。

 「残置物の処理等に関するモデル契約条項」というのは、「賃貸借契約とは別に、賃借人と受任者との間で締結する残置物の処理等に関する契約」です。あらかじめ賃借人が亡くなったときに備えて、契約解除や残置物処分を行う受任者を決めておく、というものです。賃貸借契約とは「別に締結する契約」というところがポイントです。

 この契約を結ぶことにより、亡くなった後の契約解除に関する、事務と残置物の処理事務について、あらかじめ特定の受任者に委託しておくことにより、スムーズになくなった後の処理を行うことができます。

 この残置物の処分などを行う「受任者」ですが、賃貸人が受任者になることは避けるべきと考えられており、賃借人の親族や、親族がなることが難しい場合には、居住支援法人や管理業者等が受任することも想定されています。

 今後は、単身入居者が入居中に亡くなるケースも増えていくと考えられますので、適切な準備をして対応していく必要があります。

 

護士法人 一新総合法律事務所

弁護士 大橋 良二 氏

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